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インプラント・ブリッジ・入れ歯の違い|後悔しない選び方

失った歯を補う治療法で、インプラント、ブリッジ、入れ歯のどれを選ぶべきか、迷っていませんか?費用や見た目だけでなく、10年後、20年後の生活まで左右する重要な選択だからこそ、「こんなはずではなかった」という後悔は絶対にしたくないはずです。


例えば、インプラントは寿命が10年以上と長く、天然歯の約90%の力で噛める一方、入れ歯ではその力が約3割にまで落ちてしまうことをご存知でしょうか。また、ブリッジには、支えにするために健康な歯を大きく削らなければならないという、将来のリスクが伴います。

この記事では、3つの治療法のメリット・デメリットを徹底比較し、ご自身の希望やライフスタイルに合った後悔しない選び方を、7つの判断基準から詳しく解説します。あなたに最適な治療法を見つけるための、全ての情報がここにあります。

図解でわかるインプラント・ブリッジ・入れ歯の徹底比較

失ってしまった歯を補う治療法には、主に「インプラント」「ブリッジ」「入れ歯」の3つの選択肢があります。

いざ治療を考えたとき、「どれが自分に合っているのだろう?」「費用や期間、見た目はどう違うの?」といった疑問や不安を感じる方は少なくありません。

それぞれの治療法には特徴があり、メリットもあれば注意すべき点もあります。ご自身の希望やライフスタイルに合った、後悔しない治療法を見つけることが非常に重要です。

これから3つの治療法について、費用や期間、メリット・デメリットなどを一つひとつ丁寧に比較・解説していきます。

費用・期間・寿命が一目でわかる比較表

歯を補う治療を考える上で、特に気になる「費用」「治療期間」「寿命」の3つのポイントを比較表にまとめました。治療法を選ぶ際の、最初の判断材料としてご活用ください。

比較項目インプラントブリッジ入れ歯(部分入れ歯)
費用(1歯あたり)自費:35万円~50万円保険:約1~3万円
自費:約8~15万円
保険:約5千円~2万円
自費:約15~40万円
治療期間の目安約3ヶ月~1年約1~2ヶ月約1~2ヶ月
寿命の目安10~15年以上
(メンテナンス次第で半永久的)
約7~10年約3~5年
(調整・作り直しが必要)
保険適用原則、適用外適用可
(素材に制限あり)
適用可
(素材に制限あり)

インプラントは初期費用が高く、骨と結合するのを待つため治療期間も長めです。しかし、適切な手入れをすれば非常に長く使えるという大きな利点があります。

一方、ブリッジと入れ歯は保険が適用できる場合が多く、比較的短期間で治療を終えられます。ただし、数年ごとに入れ替えや作り直しが必要になるのが一般的です。

これらの数値はあくまで目安です。患者様のお口の状態(骨の量や歯周病の有無)や、どの範囲の歯を補うか、また自費診療でどのような素材を選ぶかによって大きく変動します。

メリット・デメリットを項目別に完全解説

それぞれの治療法が持つ良い点(メリット)と、注意すべき点(デメリット)を詳しく見ていきましょう。ご自身の生活で何を優先したいかを考えながら比較してみてください。

【インプラント】

  • メリット
    • 天然歯に近い感覚で噛める  顎の骨に直接固定されるため、ご自身の歯のようにしっかり噛めます。天然歯の噛む力を100%とすると、インプラントは約90%の力を回復できると言われています。
    • 見た目が自然で美しい  周囲の歯の色や形に合わせて人工歯を作るため、見た目が天然の歯に近く、審美性に優れています。
    • 健康な歯を守れる  ブリッジのように隣の健康な歯を削る必要がなく、独立して歯を立てられるため、他の歯に負担をかけません。
    • 顎の骨が痩せるのを防ぐ  噛む刺激がインプラントを通じて直接顎の骨に伝わるため、骨が痩せていくのを防ぐ効果が期待できます。
      デメリット
    • 外科手術が必要  顎の骨にインプラント体を埋め込むための手術が必要です。
    • 治療期間が長い  インプラント体と骨がしっかりと結合するまでに、数ヶ月の治癒期間を要します。
    • 費用が高額  原則として保険が適用されず、自費診療となります。
    • 適用できない場合がある  重度の糖尿病や骨粗しょう症など全身の疾患がある方や、顎の骨の量が不足している方は治療が難しい場合があります。

【ブリッジ】

  • メリット
    • 違和感が少ない  歯に直接固定するため、入れ歯のような大きな異物感がなく、安定しています。
    • 治療期間が短い  歯を削ってから型採り、装着まで比較的スムーズに進みます。
    • 保険適用が可能  使用する素材によっては保険が適用され、費用を抑えられます。
  • デメリット
    • 健康な歯を削る必要がある  最大のデメリットは、土台にするために両隣の健康な歯を大きく削らなければならない点です。削られた歯は寿命が短くなる傾向があります。
    • 支えの歯に負担がかかる  失った歯の分の力も支えの歯が負担するため、将来的に歯の根が割れたり、歯周病が進行したりするリスクが高まります。
    • 清掃が難しい  橋げた(ダミーの歯)の下に汚れがたまりやすく、虫歯や歯周病、口臭の原因になりやすい構造です。

【入れ歯】

  • メリット
    • 健康な歯をほとんど削らない  バネをかけるために歯の形を少し整えることはありますが、ブリッジのように大きく削ることはありません。
    • 外科手術が不要  お口の型を採って作製するため、体への負担が少ない治療法です。
    • 費用を抑えられる  保険適用で作製できるため、経済的な負担が最も少ない選択肢です。
  • デメリット
    • 噛む力が弱い  歯茎で支えるため、噛む力は天然歯の20~30%程度まで低下します。硬いものや粘着性のある食べ物は食べにくくなります。
    • 違和感や異物感が出やすい  特に保険の入れ歯はプラスチックに厚みがあるため、装着時の違和感や、食べ物の味・温度が感じにくいといった問題が出ることがあります。
    • 見た目が気になることがある  歯に固定するための金属のバネ(クラスプ)が見えてしまうことがあります。
    • 支えの歯に負担がかかる  バネをかけている歯に、入れ歯を支えるための負担が集中します。

保険適用と自費診療の範囲と違い

歯科治療には、国が定めたルールの中で行う「保険診療」と、より良い見た目や快適性を追求できる「自費診療」があります。この違いが治療の選択肢に大きく関わります。

  • 保険診療(機能回復が目的)
    • 特徴  治療費の負担が1~3割で済むため、経済的な負担が少ないのが最大の利点です。「噛む」という最低限の機能を取り戻すことを目的とし、治療方法や使用材料に厳しい制限があります。
    • ブリッジ  主に金属(いわゆる銀歯)が使われます。前歯など目立つ部分には、表面に白いプラスチックを貼り付けたものも使えますが、時間が経つと変色しやすい欠点があります。
    • 入れ歯  床(歯茎に乗る部分)がプラスチック製のものに限られます。厚みがあるため、違和感が出やすく、食べ物の温度が伝わりにくいというデメリットがあります。
  • 自費診療(審美性・快適性の追求が可能)
    • 特徴  保険のルールに縛られず、見た目の美しさや快適な使い心地、耐久性などを追求できます。費用は全額自己負担ですが、医療費控除の対象になります。
    • インプラント  原則として自費診療です。
    • ブリッジ  全てセラミックで作ることで、天然の歯と見分けがつかないほど自然な見た目を実現できます。汚れもつきにくく、虫歯リスクを低減できます。
    • 入れ歯  床を薄い金属にして違和感を減らし、食べ物の温度を感じやすくできます。また、金属のバネがない審美性の高い入れ歯(ノンクラスプデンチャー)も選択可能です。

治療に伴う痛みと外科手術の有無

治療を受ける際の「痛み」や「手術」に対する不安は、誰にでもあるものです。それぞれの治療法で、体への負担がどのように違うのかを解説します。

  • インプラント
    • 外科手術:必要です。  歯茎を切開し、顎の骨にインプラント体(人工歯根)を埋め込む手術を行います。
    • 痛みについて  手術中は局所麻酔をしっかりと効かせるため、痛みを感じることはほとんどありません。術後は痛みや腫れが出ることがありますが、処方する痛み止めで十分にコントロールできる場合がほとんどです。
  • ・ブリッジ
    • 外科手術:不要です。  歯茎を切ったり骨を削ったりする外科処置はありません。主な処置は、失った歯の両隣にある健康な歯を削ることです。
    • 痛みについて  歯を削る際は麻酔を使用しますので、治療中に痛みを感じる心配は少ないでしょう。ただし、治療後に一時的に歯がしみることがあります。
  • ・入れ歯
    • 外科手術:不要です。  お口の型を採って模型上で作製するため、外科手術は一切必要ありません。
    • 痛みについて  入れ歯を作ること自体に痛みは伴いません。ただし、完成した入れ歯が歯茎に強く当たって痛みが出ることがあります。我慢せずに調整すれば、快適に使えるようになります。

あなたに最適な治療法は?後悔しないための7つの判断基準

失ってしまった歯を補う治療法を選ぶとき、多くの方が迷われます。 治療法にはそれぞれ特徴があり、どれか一つが絶対的に優れているわけではありません。

大切なのは、ご自身のライフスタイルやお口の状態を正しく把握することです。 そして、治療に何を一番求めるのかを考え、ご自身に合った方法を選ぶことです。

これからご紹介する7つの判断基準を参考にしてみてください。 インプラント、ブリッジ、入れ歯の違いを深く理解し、後悔のない選択をしましょう。

【機能性】ご自身の歯のようにしっかり噛めるのはどれか

食事を美味しく楽しむためには、「しっかり噛める」という機能が非常に重要です。 失った歯の機能をどのくらい回復できるかは、治療法によって大きく異なります。

天然の歯が持つ噛む力を100%とした場合の、回復率の目安は以下の通りです。

治療法咀嚼機能の回復率(目安)特徴と理由
インプラント約90%顎の骨に直接固定するため、力が分散しません。
硬いものでも、ご自身の歯とほぼ同じ感覚で噛めます。
ブリッジ約70%支えとなる歯に力がかかるため、やや劣ります。
極端に硬いものを噛むと、支えの歯を傷める恐れがあります。
入れ歯約20~30%歯茎で支えるため力が逃げやすく、安定しません。
硬いものや粘着性のある食べ物は苦手とする傾向があります。

インプラントが最もよく噛める理由は、その構造にあります。 顎の骨に直接、人工の歯根を埋め込むため、噛んだ力が骨にダイレクトに伝わります。 これにより、ぐらつくことなく、硬いステーキやナッツ類も楽しむことができます。

しっかり噛めることは、消化を助け、栄養吸収を良くするだけでなく、脳への適切な刺激にも繋がります。 お食事をこれまで通り楽しみたい方には、インプラントが適していると言えるでしょう。

【審美性】見た目の自然さ・美しさの比較

口元の見た目は、その人の印象を大きく左右し、笑顔への自信にも繋がります。 治療したことが分からないほど自然な仕上がりを求める方は少なくありません。

  • インプラント  周囲の歯の色や形に合わせ、オーダーメイドで人工歯を作製します。  素材も、天然歯に近い透明感と質感を持つセラミックを選べます。  歯茎から直接、自分の歯が生えているように見えるため、見た目は非常に自然です。
  • ・ブリッジ  保険適用の場合、奥歯は金属の「銀歯」になり、どうしても目立ってしまいます。  自費診療でセラミックを選べば、天然歯と見分けがつかないほど美しく仕上げられます。  ただし、連結されているため、歯と歯の間に自然な隙間は生まれません。
  • ・入れ歯  保険適用の部分入れ歯は、歯に固定するための金属のバネが見えることがあります。  自費診療であれば、バネのない審美的な入れ歯(ノンクラスプデンチャー)も選択可能です。  歯茎の色に馴染むピンク色の樹脂を使うなど、見た目を改善できます。
治療法見た目の自然さ特徴
インプラント◎(非常に良い)天然歯と見分けがつきにくい。金具などが見える心配がない。
ブリッジ△~〇(素材による)保険適用だと目立つが、自費診療なら自然な見た目にできる。
入れ歯△~〇(種類による)保険適用は金属バネが目立つが、自費診療で改善可能。

【健康面】残っている健康な歯への影響と負担

失った歯を補うだけでなく、残っている他の健康な歯をいかに守るかも重要です。 治療法の選択が、お口全体の将来を左右することもあります。

  • ・インプラント  失った部分に独立して歯を立てるため、隣の健康な歯を削る必要は一切ありません。  他の歯に負担をかけることなく、お口全体のバランスを保つことができます。  また、噛む刺激が骨に伝わるため、顎の骨が痩せていくのを防ぐ効果が期待できます。
  • ・ブリッジ  最大の欠点は、土台にするために両隣の健康な歯を大きく削る必要がある点です。  一度削った歯は二度と元には戻らず、虫歯や歯周病のリスクが高まります。  失った歯の分の力も支えの歯が負担するため、歯の寿命が短くなる傾向があります。
  • ・入れ歯  部分入れ歯は、固定するために金属のバネを健康な歯にかけます。  このバネが「てこの原理」のように働き、食事のたびに歯を揺さぶります。  長期間の使用で、バネをかけられた歯が弱り、抜歯に至るケースもあります。
項目インプラントブリッジ入れ歯
健康な歯を削るか削らない削るほとんど削らない
他の歯への負担ほとんどない大きいかかる
顎の骨への影響骨が痩せるのを防ぐ歯がない部分は痩せる歯がない部分は痩せる

長期的な視点で見ると、インプラントが残っている歯の健康を最も守れる治療法と言えます。

【手入れ】毎日のメンテナンスの手間と具体的な方法

どの治療法を選んでも、お口の中を清潔に保つための毎日のケアが不可欠です。 しかし、その方法や注意点はそれぞれ異なります。

  • ・インプラント  ご自身の歯とほぼ同じように、歯ブラシで丁寧に磨きます。  歯間ブラシやデンタルフロスを使い、歯と歯茎の境目を清掃することも大切です。  ただし、インプラント特有の「インプラント周囲炎」を防ぐため、歯科医院での定期的な専門的クリーニングは必須です。
  • ・ブリッジ  連結部分の下(橋げたの下)に汚れが溜まりやすい構造になっています。  歯間ブラシや、「スーパーフロス」という特殊なフロスを通してお手入れが必要です。  この部分の清掃を怠ると、口臭や支えの歯の虫歯、歯周病の原因になります。
  • ・入れ歯  毎食後、お口から取り外して洗浄する手間がかかります。  入れ歯専用のブラシで汚れを落とし、就寝時は洗浄剤に浸けておきます。  入れ歯のケアとは別に、残っているご自身の歯の歯磨きも必要です。

毎日のことだからこそ、ご自身の生活リズムに合った手入れが可能かどうかも、大切な判断基準になります。

【適合性】お口の状態(骨の量・歯周病)による適用の違い

希望する治療法があっても、お口の中の状態によっては適用が難しい場合があります。 事前の精密な検査と診断が非常に重要です。

  • ・インプラント  人工歯根を埋め込むため、土台となる顎の骨に十分な厚みと量が必要です。  骨が不足している場合でも、骨を増やす手術(骨造成)を行えば治療可能なことがあります。  重度の歯周病の方は、まず歯周病を治療し、お口の環境を整えることが最優先です。  当院では歯科用CTで骨の状態を三次元的に分析し、安全な治療計画を立てます。
  • ・ブリッジ  支えとなる両隣の歯が健康で、しっかりしていることが絶対条件です。  支えの歯が重度の虫歯であったり、歯周病でグラグラしていたりすると適用できません。  失った歯の本数が多すぎる場合も、支えの歯に過度な負担がかかるため不向きです。
  • ・入れ歯  歯茎の状態や残っている歯の本数に合わせて設計できるため、適用範囲が最も広いです。  外科手術が不要なため、全身疾患をお持ちで手術が難しい方にも選ばれやすいです。  ただし、顎の骨が極端に痩せていると、入れ歯が安定しにくくなることがあります。

【欠損歯数別】1本だけ無い場合と複数本無い場合のおすすめ

失った歯の本数によっても、適した治療法の選択肢は変わってきます。

  • ・1本だけ歯がない場合
    • インプラント  隣の健康な歯を傷つけずに治療できるため、最も推奨される選択肢です。
    • ブリッジ  両隣の歯がすでに被せ物で治療済みの場合などには、良い選択肢となり得ます。
  • ・複数本の歯が連続してない場合
    • インプラント  必要な本数のインプラントを入れたり、インプラントを土台にしたブリッジで対応できます。
    • ブリッジ  失った歯が3本以上になると、支える歯への負担が大きくなりすぎるため、適用は困難です。
    • 部分入れ歯  多くの歯を一度に補う場合に適していますが、機能性や快適性は劣ります。
  • ・奥歯が複数本ない場合(一番奥に支えの歯がないケース)
    • インプラント or 入れ歯  奥に支えとなる歯がないため、ブリッジは物理的に作れません。  この場合、しっかり噛めるインプラントか、取り外しの入れ歯かの選択になります。

ご自身の歯がどのような状態で残っているか、歯科医師に正確に診断してもらうことが第一歩です。

【生活の質】食事・会話・発音への影響

治療後の日常生活がどれだけ快適に送れるかは、生活の質(QOL)に直結します。 食事や会話など、日々の当たり前の喜びを損なわない治療を選びましょう。

  • ・食事の楽しみ  インプラントは自分の歯のように何でも食べられ、食事の楽しみを損ないません。  入れ歯は、食べ物の味や熱を感じにくくなったり、間に物が挟まって痛んだりすることがあります。
  • ・会話・発音  インプラントとブリッジは固定式のため、発音への影響はほとんどありません。  入れ歯は、慣れるまで舌の動きが制限され、話しにくさを感じることがあります。  また、会話中にずれたり外れたりする心配が、心理的なストレスになることもあります。
  • ・装着時の違和感  インプラントは顎の骨と一体化するため、ご自身の歯の一部のように感じられます。  ブリッジも固定式なので違和感は少ないです。  入れ歯は口の中に大きな異物を入れるため、慣れるまでは強い違和感を伴います。
項目インプラントブリッジ入れ歯
食事の満足度◎(ほぼ変わらない)〇(やや注意が必要)△(制限が多い)
味覚・温度影響なし影響なし感じにくいことがある
会話・発音しやすいしやすいしにくいことがある
装着時の違和感ほとんどない少ない大きい

これらの点を総合的に考え、治療後の生活を具体的にイメージしながら、ご自身にとって最も快適だと思える治療法を選んでいきましょう。

後悔しない治療のために知っておきたい3つの重要ポイント

歯を失った際の治療法を選ぶことは、今後の人生を左右する大切な決断です。 インプラント、ブリッジ、入れ歯にはそれぞれ特徴があり、費用や見た目、機能性など比較すべき点は多岐にわたります。

しかし、目先の情報だけで安易に決めてしまうと、「こんなはずではなかった」という後悔につながるケースは少なくありません。 大切なのは、治療直後の快適さだけではありません。 10年後、20年後のご自身の生活やお口全体の健康まで見据え、総合的に判断することです。 ここでは、後悔しない治療法を選ぶために、事前に知っておくべき4つの重要なポイントを詳しく解説します。

起こりうるトラブルと失敗例、その回避策

どの治療法にも、可能性はゼロではありませんが、起こりうるトラブルが存在します。 事前にその内容を正しく理解し、対策を講じている歯科医院を選ぶことが、失敗を避けるための最も確実な方法です。

治療法主なトラブル例原因と回避策
インプラントインプラント周囲炎
(インプラント版の歯周病)
**原因:**毎日のケア不足や定期メンテナンスの怠り。
**回避策:**天然歯以上に丁寧なセルフケアと、歯科衛生士による専門的なクリーニングが不可欠です。
神経・血管の損傷**原因:**手術時に顎の骨の中の神経や血管を傷つけること。
**回避策:**歯科用CTで神経の位置を3次元的に正確に把握し、安全な手術計画を立てることでリスクを大幅に低減できます。
脱落・ぐらつき**原因:**骨との結合不全、過度な噛み合わせの力。
**回避策:**術前の骨質診断や、治療後の精密な噛み合わせ調整が重要です。
ブリッジ支えの歯の虫歯・歯周病**原因:**連結部分の下に汚れが溜まりやすい構造のため。
**回避策:**歯間ブラシや特殊なフロスを使った清掃が必須です。定期検診でプロの清掃を受けることも大切です。
支えの歯の根が割れる
(歯根破折)
**原因:**失った歯の分の力も負担するため、過度な力が集中する。
**回避策:**設計段階で無理のない計画を立て、夜間の歯ぎしりなどがあればマウスピースで歯を守る必要があります。
入れ歯痛み・ゆるみ**原因:**歯茎が痩せることによる不適合。
**回避策:**我慢せず、定期的に歯科医院で入れ歯の内面の調整(リベース)を行うことで快適な状態を保てます。
バネをかけた歯が抜ける**原因:**着脱時や食事の際に、バネが歯を揺さぶるため。
**回避策:**設計の工夫や、バネのない審美的な入れ歯(自費)を選択することで、負担を軽減できます。

これらのトラブルは、治療前の精密な検査と診断、そして治療後の適切なメンテナンスで、その多くを防ぐことが可能です。

10年後、20年後を見据えた将来の健康への影響

治療法の選択は、単に1本の歯を補うことではありません。 お口全体の未来、ひいては全身の健康状態にまで影響を及ぼす、長期的な投資と考える必要があります。

顎の骨と顔の印象への影響

私たちの顎の骨は、歯の根から伝わる「噛む」という刺激によって、その量と密度を維持しています。

  • ・インプラント  天然歯の根と同じように、噛む刺激を直接顎の骨に伝えます。  この生理的な刺激が骨の吸収(痩せること)を防ぎ、お口周りのハリや若々しい印象を保つことにつながります。
  • ・ブリッジ・入れ歯  歯がなくなった部分の骨には刺激が伝わりません。  そのため、骨は徐々に痩せていってしまいます。  骨が痩せると、歯茎も下がり、顔の輪郭が変わったり、ほうれい線が深くなったりする原因にもなります。  また、入れ歯が合わなくなる原因の多くは、この骨の吸収によるものです。

残っている他の健康な歯への影響

一つの治療が、隣の健康な歯の寿命を縮めてしまうことがあります。 「歯のドミノ倒し」を防ぐ視点が非常に重要です。

  • ・インプラント  失った部分に独立して歯を立てるため、隣の健康な歯を削ったり、負担をかけたりすることはありません。  残っている歯の健康を最も守れる治療法と言えます。
  • ・ブリッジ  両隣の健康な歯を大きく削る必要があります。  削られた歯はダメージを受け、寿命が短くなる傾向にあります。  将来、支えの歯がダメになると、さらに大きなブリッジや入れ歯への再治療が必要になる可能性があります。
  • ・入れ歯  バネをかける歯には、食事のたびに横揺れの力がかかります。  この負担が長年続くと、歯が弱り、最終的に抜歯に至るケースも少なくありません。

症例実績が豊富で信頼できる歯科医院の見極め方

どの治療法を選ぶかと同じくらい、「どの歯科医院で治療を受けるか」は治療の成否を分ける重要な要素です。 以下のチェックリストを参考に、安心して任せられる医院を見極めましょう。

【信頼できる歯科医院を見極めるチェックリスト】

  • □ カウンセリングは丁寧で分かりやすいか  一つの治療法を強く勧めるのではなく、各治療法のメリット・デメリットを公平に説明してくれますか。  費用や期間の内訳を明確に書面で提示してくれますか。  「もしこの治療法を選んだら、10年後はどうなりますか?」といった将来のリスクに関する質問にも、真摯に答えてくれますか。
  • □ 精密な検査を行う設備が整っているか  顎の骨の厚みや硬さ、神経の位置を三次元で正確に把握できる「歯科用CT」は、特にインプラント治療には不可欠です。  口腔内スキャナーなど、精密な型採りができる機器を導入していると、より適合の良い被せ物や入れ歯が作れます。
  • □ 医師の経験や専門性は十分か  インプラントなどの専門治療について、学会の認定医や専門医などの資格を有しているかは一つの目安になります。  当院のように、各分野の専門家(インプラント専門医など)と連携し、チームで治療にあたる体制が整っていると、より質の高い医療が期待できます。
  • □ 衛生管理が徹底されているか  治療器具は患者さんごとに交換し、高圧蒸気滅菌器(オートクレーブ)などで確実に滅菌されていますか。  院内の清掃が行き届き、清潔な環境が保たれているかも重要です。
  • □ 治療後のサポート体制が明確か  治療後の保証制度や、定期メンテナンスの重要性について、しっかりと説明してくれますか。  治療後も長期的に通い続けたいと思える、信頼関係を築ける医院を選びましょう。

治療後の保証制度と定期メンテナンスの重要性

治療の完了はゴールではなく、その歯を長く健康に保つための新しいスタートです。 ご自宅でのセルフケアと、歯科医院でのプロフェッショナルケアの両方が欠かせません。

治療後の保証制度について

インプラントや自費のブリッジ・入れ歯には、多くの場合「保証制度」が設けられています。 しかし、その内容は医院によって様々です。

  • ・確認すべきポイント
    • **保証期間:**何年間、保証されるのか(例:インプラント本体10年、上部構造5年など)
    • **保証の対象範囲:**どのような場合に保証が適用されるのか(例:通常使用での破損は対象、事故によるものは対象外など)
    • **保証の適用条件:これが最も重要です。多くの場合、「指定された間隔での定期メンテナンスを受診すること」**が保証の絶対条件となっています。

保証は、歯科医院が一方的に提供するものではなく、患者様ご自身がメンテナンスに協力していただくことで初めて成り立つ制度です。

定期メンテナンスの重要性

治療した歯を長持ちさせ、トラブルを未然に防ぐために、プロによる定期的なチェックは不可欠です。

  • ・インプラントのメンテナンス  自覚症状なく進行する「インプラント周囲炎」のチェックと予防。専用の器具でインプラント周囲を徹底的に清掃します。
  • ・ブリッジのメンテナンス  ご自身では磨きにくい連結部分や、支えの歯の根元の状態をチェックし、虫歯や歯周病を予防します。
  • ・入れ歯のメンテナンス  顎の骨の変化に合わせて入れ歯の適合を調整します。バネをかけている歯や歯茎に異常がないかをチェックします。

お口の健康を生涯にわたって守るためにも、治療後も定期的に通える「かかりつけ歯科医」を見つけることが、何よりも大切です。

まとめ

今回は、インプラント・ブリッジ・入れ歯のそれぞれの特徴や、後悔しないための選び方について詳しく解説しました。

どの治療法が一番良い、という絶対的な正解はありません。大切なのは、費用や期間といった目先の情報だけでなく、10年後、20年後のご自身の生活やお口全体の健康まで見据えることです。

「しっかり噛んで食事を楽しみたい」「見た目を自然にしたい」「他の健康な歯を守りたい」など、あなたが何を一番大切にしたいかによって、最適な選択は変わってきます。

まずは一人で悩まず、この記事で得た知識を参考に、信頼できる歯科医師へ相談することから始めてみませんか。専門家の視点を交えることで、きっとあなたに合った後悔のない治療法が見つかるはずです。

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