マウスピース矯正の向き不向き

マウスピース矯正の向き不向き

歯並びをきれいにしたいと考えたとき、「ワイヤー矯正」と「マウスピース矯正」、どちらが自分に合っているのか迷っていませんか? 透明で目立たないマウスピース矯正は魅力的ですが、「本当に自分の複雑な歯並びも治せる?」「費用はどれくらい違うの?」といった疑問や不安は尽きないものです。

実は、最適な治療法は歯並びの状態だけでなく、あなたのライフスタイルによっても大きく変わります。この記事では、見た目や費用、痛みの違いはもちろん、食事や会話への影響まで、歯科医師の視点から7つの項目で両者を徹底比較します。後悔しない選択のために、それぞれの真実を知り、あなただけの答えを見つけましょう。

主要な歯列矯正3つの方法と特徴

「歯並びをきれいにしたい」というご希望の背景には、さまざまな想いがあるかと存じます。 歯列矯正は見た目を美しくするだけでなく、正しい噛み合わせを実現する治療です。

歯列矯正には、大きく分けて2つの装置の種類と2つの治療範囲があります。

  • ・装置の種類
    • ワイヤー矯正:歯に装置を固定し、持続的な力で歯を動かす歴史のある方法です。
    • マウスピース矯正:透明なマウスピースを交換しながら歯を動かす比較的新しい方法です。
  • ・治療の範囲
    • 全体矯正:奥歯を含めた全体の噛み合わせを根本から整えます。
    • 部分矯正:前歯など、気になる部分だけをピンポイントで整えます。

それぞれの方法には得意なこと、不得意なことがあります。 ご自身の歯並びの状態やライフスタイル、そして何をゴールとするのかを明確にすることが、最適な治療法を選ぶための第一歩です。

ワイヤー矯正(表側・裏側)で歯が動く仕組み

ワイヤー矯正は、歯の表面にブラケットという小さな装置を接着します。 そこにワイヤーを通して、ワイヤーが元に戻ろうとする力を利用して歯を動かす治療法です。

歯が動く際には、歯の根元で細胞レベルの変化が起きています。 歯は、歯槽骨(しそうこつ)という顎の骨に直接埋まっているわけではありません。 歯と歯槽骨の間には、歯根膜(しこんまく)という薄いクッションのような組織があります。

  1. 1.圧力がかかる
    • 矯正装置によって歯に力が加わると、動かしたい方向の歯根膜が圧迫されます。
  2. 2骨が溶ける
    • 圧迫された側の歯槽骨では、破骨細胞(はこつさいぼう)が骨を溶かします。
    • これにより、歯が動くためのスペースが生まれます。
  3. 3骨ができる
    • 反対に、引っ張られて伸びた側の歯根膜では、骨芽細胞(こつがさいぼう)が新しい骨を作ります。
  4. 4歯が移動する
    • この「骨の吸収」と「再生」という代謝(リモデリング)を少しずつ繰り返すことで、歯は徐々に動いていきます。

ワイヤー矯正は、歯の根の向きまで含めた三次元的なコントロールを得意とします。 そのため、抜歯を伴う症例や、骨格的な問題を含む複雑な歯並びにも対応可能です。

マウスピース矯正(インビザライン)のメリット・デメリット

マウスピース矯正は、透明で目立ちにくいマウスピース型の装置(アライナー)を使います。 治療計画に基づき、形の異なるアライナーを1〜2週間ごとに交換して歯を動かす方法です。

まず口腔内スキャナーで精密な歯型データを取得し、コンピュータ上で治療計画をシミュレーションします。 その計画通りに歯が動くよう、複数のアライナーをオーダーメイドで製作します。 マウスピース矯正のメリットとデメリットは以下の通りです。

項目メリットデメリット
見た目装置が透明で薄いため、装着していても周囲に気づかれにくいです。歯を効率的に動かすため、アタッチメントという白い突起を歯につけることがあります。
快適性装置が滑らかな樹脂製で、口の中の違和感や痛みが比較的少なく、口内炎もできにくいです。新しいアライナーに交換した直後は、締め付けられるような痛みや圧迫感を感じることがあります。
食事・歯磨き食事の際は取り外せるため、食べ物の制限がなく、普段通りに食事を楽しめます。飲食のたびに装置を取り外す必要があります。食後は歯磨きをしてから装着しないと虫歯の原因になります。
衛生面装置を外して隅々まで歯磨きができるため、口の中を清潔に保ちやすいです。装置や歯の清掃を怠ると、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
自己管理通院頻度は1〜2ヶ月に1回程度で済む場合が多く、忙しい方でも続けやすいです。1日20時間以上の装着が必要です。装着時間を守れないと計画通りに歯が動かず、治療期間が延びる可能性があります。
適応症例軽度から中程度の歯並びの乱れ(すきっ歯、軽度のガタガタなど)に適しています。抜歯や歯を大きく動かす必要がある重度の症例、骨格に問題がある症例には対応できない場合があります。

部分矯正と全体矯正の適応範囲と費用の違い

歯列矯正は、治療する範囲によって「全体矯正」と「部分矯正」に分けられます。 それぞれ目的が異なり、費用や期間にも違いがあります。

比較項目全体矯正部分矯正
治療の目的奥歯を含めたすべての歯を動かし、見た目だけでなく、噛み合わせの機能を根本から改善します。主に前歯など、見た目が気になる部分だけを整えることを目的とします。
適応範囲・出っ歯、受け口、叢生(ガタガタ)など、ほとんどの不正咬合
・噛み合わせに問題がある場合
・抜歯が必要な場合
・前歯のすき間(すきっ歯)
・軽度の歯のガタガタ
・奥歯の噛み合わせに問題がない場合
治療期間の目安約1年半~3年約数ヶ月~1年
費用の目安比較的高額になる傾向があります。全体矯正に比べて費用を抑えられる傾向があります。

「前歯のガタガタだけ気になるから部分矯正で」とご希望される方は少なくありません。 しかし、そのガタガタの原因が、実は奥歯の噛み合わせのズレにあるケースも多いのです。

その場合、部分矯正で前歯だけを動かすと、一時的に見た目は改善されるかもしれません。 ですが、根本原因が解決されていないため、後戻りを起こしやすくなります。 最悪の場合、噛み合わせがさらに悪化してしまうリスクさえあります。

当院では「未来の健康を守る」という理念のもと、安易な部分矯正はお勧めしていません。 まずは歯科用CTや口腔内スキャナーによる精密検査で、顎の骨の状態や歯の根の位置を正確に把握することが重要です。 その上で、見た目と機能の両方を満たす、長期的に安定した治療法をご提案します。

【項目別】ワイヤーとマウスピース矯正の7つの違いを徹底比較

歯並びを整えたいと考えたとき、多くの方が悩むのが治療法の選択です。 特に「ワイヤー矯正」と「マウスピース矯正」は、それぞれに優れた特徴があります。

「見た目は?」「費用は?」「痛みは?」「自分の歯並びは治せるの?」 こうした疑問は当然のことです。 どちらか一方が絶対的に優れているわけではありません。 ご自身の歯並びの状態、ライフスタイル、そして何を最も重視するかによって最適な方法は変わります。

ここでは7つの重要な項目に分け、両者の違いを歯科医師の視点から詳しく比較します。 ご自身に合った治療法を見つけるための、判断材料としてお役立てください。

見た目の違い|周囲に気づかれにくいのはどっち?

矯正治療中の見た目は、特に人と接する機会が多い方にとって重要なポイントです。 治療中の審美性を最も重視されるなら、マウスピース矯正が有力な選択肢となるでしょう。

マウスピース矯正 
 医療用の透明な樹脂でできているため、装着していても非常に目立ちにくいのが最大の特徴です。  近くでよく見ないと、矯正治療中だと気づかれないことも少なくありません。  ただし、歯を効率的に動かすために「アタッチメント」という白い突起を歯の表面につけることがあります。  アタッチメントをつけた場合でも、従来のワイヤー矯正に比べれば審美性は高いといえます。

ワイヤー矯正 
 歯の表面(または裏面)にブラケットという装置を取り付け、ワイヤーを通して歯を動かします。  装置をつける位置や素材によって、見た目の印象は大きく変わります。

  • ・表側矯正 
     歯の表側に装置をつけます。金属製の装置は目立ちますが、最近では歯の色に近い白色や透明のセラミック製・プラスチック製のブラケットを選ぶことで、以前よりも目立ちにくくすることが可能です。
  • ・裏側(舌側)矯正 
     歯の裏側に装置をつけるため、正面からは見えません。審美性は非常に高いですが、その分、費用は高額になる傾向があります。
矯正方法見た目の特徴こんな方におすすめ
マウスピース矯正透明でほとんど目立たない。人前に出る機会が多い方、見た目を最優先したい方。
ワイヤー矯正(表側)装置が目立つ(素材により軽減可能)。費用を抑えつつ、幅広い症例に対応したい方。
ワイヤー矯正(裏側)他人からは装置が見えない。費用をかけてでも、誰にも気づかれずに矯正したい方。

費用の違い|総額と支払い方法(ローン・医療費控除)

矯正治療は自由診療のため、健康保険が適用されず、まとまった費用が必要になります。 治療法によって費用相場は異なり、支払い方法も多様です。

治療法ごとの費用相場(全体矯正の場合)

治療法費用相場(税込)特徴
ワイヤー矯正(表側)70万円~100万円最も標準的な治療法。使用するブラケットの素材で費用が変動。
マウスピース矯正80万円~100万円オーダーメイドの装置を多数製作するため、ワイヤー矯正と同等かやや高額に。
ワイヤー矯正(裏側)100万円~150万円オーダーメイドの装置と高度な技術を要するため、最も高額になる傾向。

上記はあくまで目安です。歯並びの状態や治療範囲(全体矯正か部分矯正か)、抜歯の有無によって費用は変動します。 当院では、治療開始前に調整料などを含めた総額を提示する「トータルフィー制度」を採用しています。 治療が長引いても追加費用が発生しないため、安心して治療に専念いただけます。

支払い方法について 
 現金一括払いのほか、クレジットカード払いやデンタルローンに対応しています。  デンタルローンを利用すれば、月々の負担を抑えながら無理なく治療を開始できます。

医療費控除の活用 
 「出っ歯で口が閉じにくい」「ガタガタで歯磨きがしにくい」など、審美面だけでなく噛み合わせの改善といった機能回復を目的とする矯正治療は、医療費控除の対象となる場合があります。  対象となれば、支払った医療費の一部が所得税から還付されます。

期間の違い|治療完了までの平均的な目安

治療がいつ終わるのかは、矯正を始めるうえで大きな関心事の一つです。 治療期間は歯並びの複雑さや抜歯の有無、選択する治療法によって大きく異なります。

平均的な治療期間の目安(全体矯正の場合)

  • ・ワイヤー矯正  約1年半~3年
  • ・マウスピース矯正  約1年~2年半

治療期間が変動する主な要因には、以下のようなものがあります。

  • ・歯並びの複雑さ 
     歯を動かす距離が長かったり、抜歯が必要だったりする難症例ほど、期間は長くなる傾向があります。
  • ・骨の新陳代謝 
     歯は骨の代謝を利用して動きます。一般的に、骨の代謝が活発な若い方のほうが歯はスムーズに動きやすいとされています。
  • ・患者様の協力度 
     特にマウスピース矯正では、1日20時間以上の装着時間を守ることが治療計画通りに進めるための絶対条件です。装着時間を守れないと、歯が計画通りに動かず、治療期間が大幅に延長する原因となります。

痛みの違い|装置ごとの痛みの種類とピーク

矯正治療には「痛い」というイメージがあり、不安に思われる方も少なくありません。 痛みの感じ方には個人差がありますが、装置によって痛みの種類や感じやすい時期が異なります。

矯正治療の痛みは、主に歯に力がかかることで、歯根を覆う「歯根膜(しこんまく)」という組織が圧迫されて生じる生理的な反応です。

マウスピース矯正の痛み

  • ・痛みの種類  歯全体が締め付けられるような、じーんとした圧迫感が主な痛みです。
  • ・痛みのピーク  新しいマウスピースに交換してから2~3日がピークで、徐々に和らいでいきます。
  • ・特徴  装置が滑らかな樹脂製のため、ワイヤー矯正のように装置が口の中の粘膜に当たって口内炎ができる痛みはほとんどありません。

ワイヤー矯正の痛み

  • ・痛みの種類  歯が動く痛みに加え、ブラケットやワイヤーの端が頬や唇の内側に当たって、口内炎を引き起こすことがあります。
  • ・痛みのピーク  クリニックでワイヤーを調整してから3日~1週間ほど痛みが続きやすいです。
  • ・特徴  一度に歯にかける力が比較的強いため、痛みを感じやすい場合があります。

どちらの治療法でも、痛みがつらい場合は鎮痛剤を服用することで対処できます。 痛みを我慢せず、まずはクリニックにご相談ください。

生活への影響|食事・会話・歯磨きのしやすさ

矯正治療は長期間にわたるため、日常生活への影響も考慮して治療法を選ぶことが大切です。 特に「食事」「歯磨き」「会話」のしやすさは、両者で大きく異なります。

項目マウスピース矯正ワイヤー矯正
食事取り外せるため、食事制限は一切ありません。普段通り何でも食べられます。ただし飲食の都度、着脱が必要です。装置は固定式です。ガムやキャラメルなどの粘着物、せんべいなどの硬い食べ物は、装置の破損や脱落の原因となるため避ける必要があります。
歯磨き装置を外して隅々まで磨けるため、普段通りのケアが可能です。虫歯や歯周病のリスクを低く抑えられます装置の周りは複雑で食べかすが詰まりやすく、磨き残しが多くなりがちです。歯間ブラシなど補助用具を使った丁寧なケアが不可欠です。
会話装置が薄く滑らかなため、発音への影響は比較的少ないです。慣れるまでは話しにくさを感じることもあります。表側矯正は影響が少ないですが、裏側矯正は舌の動きが制限されるため、慣れるまで滑舌に影響が出やすいです。

適応症例の違い|難しい歯並びにも対応できるのは?

どの治療法が選択できるかは、現在の歯並びの状態に大きく左右されます。 対応できる症例の範囲は、ワイヤー矯正とマウスピース矯正で異なります。

ワイヤー矯正が得意な歯並び 
 ワイヤー矯正は、歯の根を含めて三次元的に精密にコントロールすることを得意とします。  そのため、対応できる症例の範囲が非常に広いのが最大の特徴です。

  • ・抜歯が必要なほど歯がガタガタに重なっている「重度の叢生(そうせい)」
  • ・骨格的な問題が原因の「出っ歯(上顎前突)」や「受け口(下顎前突)」
  • ・奥歯で噛んでも前歯が閉じない「開咬(かいこう)」
  • ・歯を歯ぐきから引き出したり、逆に押し込んだりする必要がある症例

マウスピース矯正が得意な歯並び 
 技術の進歩で適応範囲は広がっていますが、得意とするのは軽度から中等度の歯並びの乱れです。  歯を平行に大きく動かしたり、歯の根の向きを大きく変えたりする動きは苦手とする傾向があります。

  • ・軽度から中等度の叢生(ガタガタ)
  • ・すきっ歯(空隙歯列)
  • ・軽度の出っ歯や受け口
  • ・矯正治療後の後戻り

骨格のズレが大きい場合や、歯の移動量が非常に大きい複雑な症例では、マウスピース矯正単独での治療が難しい場合があります。 その際は、ワイヤー矯正を併用するハイブリッド治療をご提案することもあります。 ご自身の歯並びがどちらに適しているかは、歯科用CTなどによる精密検査に基づいた歯科医師の診断が不可欠です。

通院頻度の違い|ライフスタイルに合わせた選び方

矯正治療中は定期的な通院が必要ですが、その頻度は治療法によって異なります。 ご自身のライフスタイルに合わせて、無理なく通える方法を選ぶことも治療を続けるための重要な要素です。

ワイヤー矯正の通院頻度 
 ワイヤーの調整や交換のために、3~4週間に1回程度の通院が必要です。  歯科医師が毎回お口の状態を確認し、計画通りに歯が動くようミリ単位で微調整を行います。  こまめにプロのチェックを受けたい方には安心感があるでしょう。

マウスピース矯正の通院頻度
 治療の進行状況の確認や、新しいマウスピースのお渡しのために、1~3ヶ月に1回程度の通院となります。  一度の来院で複数枚のマウスピースをお渡しし、ご自宅で定期的に交換していただくため、通院回数を大幅に減らすことが可能です。

ライフスタイルに合わせた選び方

  • ・マウスピース矯正がおすすめな方  仕事が忙しく、頻繁な通院が難しい方。  遠方にお住まいで、通院の負担を減らしたい方。  留学や長期出張の予定がある方。
  • ・ワイヤー矯正がおすすめな方  自己管理に自信がなく、定期的に歯科医師に診てもらいたい方。  複雑な症例で、こまめな調整が必要な方。

当院はJR与野駅から徒歩3分とアクセスが良く、平日・土曜も18時まで診療しております。 お仕事や学校帰りにも通院しやすい環境を整えておりますので、まずはお気軽に無料カウンセリングにお越しください。

あなたに最適な矯正方法は?悩みとライフスタイルから選ぶ

歯列矯正には、ワイヤー矯正やマウスピース矯正など様々な方法があります。 「自分にはどの治療法が合っているのだろう?」と悩まれる方も少なくないでしょう。

最適な治療法は、患者様お一人おひとりの歯並びの状態だけでは決まりません。 お仕事や生活習慣といったライフスタイル、そして何を優先したいかによっても異なります。 大切なのは、それぞれの治療法の利点と欠点を正しく理解することです。 その上で、ご自身の希望や状況に合った方法を選ぶことが治療の成功につながります。

歯並びの悩み別(出っ歯・ガタガタなど)おすすめの治療法

歯並びのお悩みは人それぞれで、見た目だけでなく噛み合わせの機能にも影響します。 ここでは代表的な症状別に、どの治療法が適しているかを歯科医師の視点で解説します。

マウスピース矯正が適応しやすい歯並び

透明な装置で目立ちにくいマウスピース矯正は、歯を動かす量が比較的少ない、軽度から中等度の歯並びの乱れの改善を得意としています。

  • ・軽度の叢生(そうせい)  歯が少しだけ重なったり、ガタガタに並んだりしている状態です。  歯を並べるためのスペースが少し不足しているケースに適しています。
  • ・すきっ歯(空隙歯列)  歯と歯の間にすき間がある状態です。  歯を寄せてすき間を閉じる動きは、マウスピース矯正が得意とするところです。
  • ・歯の傾きが原因の軽度の出っ歯・受け口  顎の骨格に大きな問題はなく、歯が前方に傾いていることで生じている出っ歯などです。
  • ・矯正治療後の後戻り  過去に矯正治療を受けたものの、少し歯並びが元に戻ってしまったケースの再治療にも向いています。

ワイヤー矯正が推奨される歯並び

ワイヤー矯正は、歯の根を含めて三次元的に歯を動かす力を細かく調整できます。 そのため、歯を大きく動かす必要がある複雑な症例にも幅広く対応可能です。

  • ・重度の叢生  歯が大きく重なり合い、歯を並べるスペースが著しく不足している状態です。  スペース確保のために抜歯が必要と診断されるケースが多く、ワイヤー矯正が第一選択となります。
  • ・骨格性の出っ歯・受け口  歯の傾きだけでなく、上下の顎の骨の大きさや位置関係に原因がある不正咬合です。  歯だけでなく骨格の分析が重要となり、歯を大きく後退させるなど精密なコントロールが求められます。
  • ・開咬(かいこう)  奥歯で噛んでも前歯が噛み合わず、隙間ができてしまう状態です。  奥歯を骨の中に沈める(圧下させる)など、複雑な歯の動きが必要になるため、ワイヤー矯正が適しています。
  • ・抜歯が必要な症例全般  抜歯によってできたスペースを閉じるためには、歯を根ごと平行に大きく動かす必要があります。  このような歯体移動は、ワイヤー矯正が最も得意とする動きの一つです。

ご自身の歯並びがどちらに当てはまるか、自己判断は難しいものです。 当院では歯科用CTなどによる精密検査で歯や顎の状態を正確に把握し、最適な治療法をご提案します。

ライフスタイル別(接客業・学生など)おすすめの治療法

矯正治療は年単位の長いお付き合いになります。 そのため、ご自身の生活スタイルに無理なく取り入れられる方法を選ぶことが、治療を最後までやり遂げるための重要な鍵となります。

【こんな方には「マウスピース矯正」がおすすめです】

おすすめしたい方理由
接客業・営業職など人と話す機会が多い方透明な装置のため、装着していても周囲にほとんど気づかれません。見た目を気にすることなく、自信を持って会話に集中できます。
就職活動や結婚式などを控えている方写真撮影など、大切な場面では一時的に取り外すことも可能です。人生の重要なイベントを最高の笑顔で迎えられます。
会食など食事の機会が多い方食事の際は装置を取り外せるため、食べ物が挟まる心配がありません。普段通りに何でも美味しく食べられます。
お口の衛生状態を良好に保ちたい方装置を外して隅々まで歯磨きができるため、虫歯や歯周病のリスクを低く抑えられます。「未来の健康を守る」上で非常に重要です。
通院回数をなるべく少なくしたい方お仕事で多忙な方、遠方にお住まいの方でも、1〜3ヶ月に1回の通院で治療を進められる場合があります。
金属アレルギーが心配な方装置は医療用の高分子化合物(プラスチック)でできているため、金属アレルギーの心配がありません。

【こんな方には「ワイヤー矯正」も選択肢になります】

  • 自己管理に少し不安がある方 
     装置は歯科医師が固定するため、ご自身で着脱管理をする必要がありません。  「つい、つけ忘れてしまうかも」という心配がある方には、確実な治療法といえます。
  • ・対応できる症例の幅広さを重視する方 
     マウスピース矯正では治療が難しいと診断された複雑な歯並びでも、ワイヤー矯正なら対応できる可能性が高いです。

失敗しない矯正歯科の選び方と無料カウンセリングの活用術

矯正治療を成功に導くには、信頼できる歯科医院との出会いが不可欠です。 ここではクリニック選びのポイントと、カウンセリングで確認すべきことを解説します。

【矯正歯科選びの5つのチェックリスト】

  1. 1.精密な検査と科学的根拠に基づく診断を行っているか 
     見た目だけでなく、歯科用CTで歯の根や顎の骨の状態を三次元的に把握しているか。  頭部X線規格写真(セファログラム)で骨格を分析し、科学的データに基づいた診断をしているかが重要です。
  2. 2治療計画の説明は丁寧で分かりやすいか 
     治療のゴール、期間、費用の総額はもちろん、メリットだけでなくデメリットやリスクについても詳しく説明してくれるかを確認しましょう。
  3. 3費用体系が明確か(トータルフィー制度など) 
     毎回の調整料などが含まれた「トータルフィー制度(治療費総額制)」を導入しているクリニックは、治療が長引いても追加費用が発生しないため安心です。
  4. 4矯正治療に関する知識と経験が豊富か 
     様々な症例に対応してきた経験を持つ医師が在籍しているか。  一つの方法に固執せず、複数の選択肢を提示してくれるかも大切なポイントです。
  5. 5コミュニケーションが取りやすく、質問しやすいか 
     不安や疑問を気軽に相談できる雰囲気か、医師やスタッフが親身に対応してくれるか。  長い治療期間を共に歩むパートナーとして、信頼関係を築けるかを見極めましょう。

【無料カウンセリングで必ず確認したいこと】

無料カウンセリングは、クリニックの方針や医師との相性を知る絶好の機会です。 以下の点を質問し、納得できるクリニックを選びましょう。

  1. 1自分の歯並びに最適な治療法は何か?またその理由は?
  2. 2治療期間と費用の総額(調整料や保定装置代も含む)の目安は?
  3. 3治療途中や計画変更で追加費用が発生する可能性はあるか?
  4. 4治療後の後戻りのリスクと、その対策(保定装置の種類や期間)は?
  5. 5装置の破損など、トラブルが起きた際の対応方法は?

治療後の後戻りを防ぐ保定装置(リテーナー)の重要性

矯正装置が外れた瞬間は、治療のゴールと思われがちです。 しかし、きれいな歯並びを生涯維持するためには、ここからが新たなスタートです。

矯正治療で動かした歯は、何もしないと元の位置に戻ろうとします。 この「後戻り」という現象を防ぐために、絶対に欠かせないのが「保定装置(リテーナー)」です。

なぜ後戻りは起きるのか?

歯は、歯槽骨という骨の中に直接埋まっているわけではありません。 歯根膜というクッションのような組織に支えられています。 矯正治療によって歯が動くと、この歯槽骨や歯根膜、歯ぐきの線維などの周辺組織が新しい位置に順応するまでに時間がかかります。 特に、歯ぐきの中にある弾力性の高い線維は、ゴムのように元の位置に戻ろうとする力が強く働きます。 この力が後戻りの主な原因となるのです。

リテーナーの役割と種類

リテーナーは、歯の周辺組織が新しい位置で安定するまでの間、歯をその場所にとどめておくための装置です。 この大切な期間を「保定期間」と呼び、リテーナーの装着が必須となります。

  • ・マウスピースタイプ  透明で目立ちにくく、取り外しが可能です。審美性を重視する方に向いています。
  • ・プレートタイプ  プラスチックのプレートとワイヤーでできた、取り外し式の装置です。耐久性が高いのが特徴です。
  • ・ワイヤータイプ(固定式)  歯の裏側に細いワイヤーを接着するタイプです。自分で取り外す必要がなく、装着のし忘れがないのが最大のメリットです。

保定期間は「治療の総仕上げ」

保定期間の目安は、一般的に矯正治療にかかった期間と同じか、それ以上とされています。 装着時間は、歯科医師の指示に従うことが極めて重要です。 リテーナーの使用を怠ると、せっかく時間と費用をかけて手に入れた美しい歯並びが、再び乱れてしまう可能性があります。

治療後の美しい歯並びを長く保つため、リテーナーの装着と定期的なメンテナンスを必ず続けましょう。 それがご自身の「未来の健康を守る」ことにつながります。

まとめ

今回は、マウスピース矯正の向き不向きについて、ワイヤー矯正との違いを交えながら詳しく解説しました。

見た目の手軽さからマウスピース矯正に惹かれる方も多いですが、大切なのはご自身の歯並びの状態やライフスタイルに本当に合っているかを見極めることです。ワイヤー矯正にも優れた点があり、どちらか一方が絶対的に優れているわけではありません。

後悔のない選択をするために最も重要なのは、自己判断せず、まずは専門家による精密な検査と診断を受けることです。カウンセリングなどを活用してご自身の歯の状態を正確に把握し、それぞれの治療法のメリット・デメリットを理解した上で、納得できる治療法を一緒に見つけていきましょう。

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