中等度歯周病
中等度歯周病について

歯周病が初期段階を超えて進行し、歯茎や歯を支える歯槽骨にまで影響を及ぼし始めた状態を指します。この段階では、歯茎の炎症や歯槽骨の損失が顕著になり、歯のぐらつきや歯周ポケットの深まりがみられることがあります。適切な治療を行うことで進行を止め、症状を改善することが可能です。
中等度歯周病の特徴
症状
- 歯茎の腫れや赤み、出血(歯磨きや食事時)
- 歯茎の後退(歯が長く見える)
- 歯周ポケットの深さが4~6mm程度になる
- 口臭が強くなる
- 歯の動揺(軽いぐらつき)を感じる場合がある
- 歯槽骨の一部が失われている(X線検査で確認)
歯周ポケット
- 歯と歯茎の間に隙間ができ、細菌が繁殖しやすい環境が形成される
中等度歯周病の原因
歯垢(プラーク)と歯石の蓄積
中等度歯周病の主な原因は、細菌が歯周ポケット内で繁殖し、炎症を引き起こすことです。
不適切な歯磨き
歯垢がしっかり除去されない場合、歯石が形成され、細菌の温床となります。
生活習慣の影響
喫煙、ストレス、不健康な食生活などが歯周病の進行を促進します。
全身疾患の影響
糖尿病などの慢性疾患がある場合、免疫力の低下により歯周病が悪化しやすくなります。
中等度歯周病の治療の流れ
中等度歯周病の治療は、炎症のコントロールと歯周ポケットの改善を目的とします。以下の治療が一般的です。
スケーリング・ルートプレーニング(SRP)
スケーリング
- 歯の表面と歯茎の境目、歯周ポケット内に蓄積した歯石を除去します。
ルートプレーニング
- 歯の根面を滑らかにし、細菌の付着を防ぎます。

局所的な抗菌療法
- 歯周ポケット内に抗菌剤を注入して細菌を減らします。
- クロルヘキシジンなどの抗菌性うがい薬を併用する場合もあります。

外科的治療(必要に応じて)
中等度以上の歯周病では、歯周ポケットが深く、SRPだけでは十分な効果が得られない場合があります。
フラップ手術
- 歯茎を切開してポケット内を清掃し、深い歯石を除去します。
歯周組織再生療法
- 歯槽骨が失われている場合、再生療法(人工骨や成長因子を用いた治療)が行われることがあります。

咬み合わせ調整
- 歯のぐらつきを軽減し、過度な咬合力が歯周組織にかからないよう調整します。

中等度歯周病の予防とセルフケア
適切なセルフケア
- 毎日の歯磨きに加え、歯間ブラシやデンタルフロスを使用して歯間の清掃を徹底します。
定期的な歯科検診
- 歯周病の進行を抑えるため、3~6か月ごとに歯科医院でプロフェッショナルケアを受けます。
生活習慣の改善
- 禁煙を含めた健康的な生活習慣を取り入れることで、治療効果を高め、進行を防ぎます。
全身の健康管理
- 糖尿病などの全身疾患を管理し、歯周病の悪化を防ぎます。
中等度歯周病のポイント
- 中等度歯周病は、炎症が歯槽骨にまで及んでいるため、適切な治療を早急に行う必要があります。
- この段階で治療を行うことで、重度歯周病への進行を防ぎ、歯の保存が可能になります。
- 歯科医師との連携と患者自身のセルフケアが、治療成功の鍵となります。
中等度歯周病は進行性の病気ですが、適切な治療とケアで健康な状態を取り戻すことが可能です。早めの受診と継続的なケアを心掛けましょう!
中等度歯周病の保険治療対象
軽度歯周病の治療に加えて、より積極的な治療が行われます。中等度歯周病では、歯肉の炎症が進行し、歯周ポケットが深くなり、歯周組織にダメージが見られることが特徴です。歯周病が進行しているため、早期の治療が重要です。
以下は、中等度歯周病に対する保険治療の詳細です。
中等度歯周病の場合、保険適用の治療は以下のような内容です。
スケーリング(歯石除去)
概要
- 歯茎の炎症を引き起こす歯石を取り除くための治療です。
歯石の蓄積が原因で歯周病が悪化するため、これを取り除くことが治療の第一歩となります。
保険適用
- スケーリングは、軽度歯周病と同様に保険で行われます。
中等度歯周病では、歯根に付着した歯石も除去するため、ルートプレーニングが併用されることが一般的です。
ルートプレーニング(歯根の清掃)
概要
- 歯根に付着した歯石や細菌の塊を取り除き、歯茎の炎症を改善します。また、歯根面を滑らかにして、再度歯石が付きにくくします。
保険適用
- 中等度歯周病では、スケーリングとともにルートプレーニングが行われることが一般的です。これにより、歯周ポケットを浅くし、歯茎の健康を回復させることができます。
歯磨き指導と口腔ケアのアドバイス
概要
- 患者に適切なブラッシング方法や、歯間ブラシやフロスを使った歯磨きのコツを指導します。
保険適用
- 中等度歯周病の場合、歯周病が進行しているため、患者にとって正しい口腔ケアの習慣化が必要です。このため、歯磨き指導も保険治療として提供されます。
歯周ポケットの深さの測定と経過観察
概要
- 歯周ポケットの深さを測定し、病状の進行具合を確認します。定期的な経過観察が行われ、歯周病の進行をチェックします。
保険適用
- 歯周ポケットの深さを測る診断や定期的なチェックは保険内で行われます。
中等度歯周病治療の
保険適用範囲の制限
保険治療では、以下のような制限があります。
- 治療法の選択肢が限られる: 進行した歯周病の場合でも、保険適用される治療法はスケーリングやルートプレーニングが中心となり、外科的治療(歯周外科手術など)や高度な治療法は適用外です。
- 材料の制限: 保険内では、使用できる材料が制限されているため、美容的に優れた治療(例:セラミック治療)は保険適用外となります。
中等度歯周病治療のメリット
- 低コスト: 保険適用により、治療費が比較的安価で提供されます。
- 標準的な治療が受けられる: 歯周病の進行を防ぐために必要な治療を受けられます。
- 歯周病の進行を食い止める: 早期に適切な治療を行うことで、歯を保存できる可能性が高くなります。
中等度歯周病治療のデメリット
- 高度な治療は保険適用外: 歯周外科手術や最新の治療法は保険対象外となり、自由診療が必要です。
- 治療が標準的な内容に限られる: 美容面や個別のニーズに対応する治療は選べません。
まとめ
中等度歯周病の治療は、主にスケーリング、ルートプレーニング、歯磨き指導などの保険適用治療によって行われます。治療は段階的に進められ、症状が改善されることが期待されますが、治療の進行具合に応じて追加の処置が必要なこともあります。
保険内での治療は費用面での負担が少ない一方で、高度な治療や美容的な要素は提供されないため、患者のニーズに応じた選択が求められます。